2022-11-28

インタビュー

メンバー紹介 CEO岡本大河

「もう何百回も聞いたよ」と社員をうんざりさせる話があるらしいじゃん?

はい、そうですね。では、僕の自己紹介に代えた随筆集をどうぞ。

サウナを楽しむレベル3段階

このテーマは、実体験を通して、僕のサウナの楽しみ方が変わっていったということなんですが、偉そうに語ってみると、

  1. 最初は、「8分サウナ室、2分水風呂、5分休憩の3セット」をこなして楽しむいわゆる「サウナの入り方」を学び、サウナとはこういうものかを知っていく時期。確かに王道の入り方かもしれないが、自分の体調や気分、訪問した施設、天候などによって、必ずしも時計の針が正しいとは限らない。
  2. 次は時計の針から解放され、自分の体や心に問いかけながら、そして環境と会話をしながら、その時のベストを自らデザインして楽しむ今日はなんか寝不足だな。今日は気持ちが沈んでいるな。今日の環境は水風呂が自分には冷たすぎるな。その時々の自分と環境に向き合い、時計の針ではなく、自分の感覚で入り方を決める。時には15分もサウナ室にこもったり、最初に水風呂に入って見たり、1周で帰っちゃってみたり、でもそれが自分なりの満足だと気付く。
  3. 最後は、サウナという環境が成立していることに幸せを感じて楽しむ隣のおじさんの気持ちよさそうな溜息、水風呂に入ってきた人が作る小さいさざ波、そういうものに幸せを感じる。自分の身体的な満足ではなく、サウナという空間を他人と共有し、幸せな時間を共有していることに、精神的な心地よさを感じる。そうすると自然とマナーもよくなる。人にも優しくなれる。「自分」から解放された幸せを感じられる。

サウナに限らず、「自分自身」から解放された視座で生きていたいなと思います。世間の正解ではなく、そして自分個人の快楽だけでなく、時間や志を共有する仲間の幸せを素直に追い求められるような人間でありたいと思います。

全国のサウナ―の皆さん、偉そうなことを言ってごめんなさい。楽しみ方は人それぞれです。

シャインマスカットで感じるケチな自分 (いい意味)

起業して本気でradialに向き合い始めたころ、自分の「リソース」に対する自分の感覚が変わったなと感じたエピソードです。

以前、友人との宅飲み。えらく優秀な大学の同期や、ハイキャリアなメンバーが集いました。お菓子の買い出しもレベルが高く、スーパーの買い物かごに、弁護士の友人がシャインマスカットを何の気なしに入れました。……いや、高い。酒を飲みながら味もよくわからずに食べる2,000円のシャインマスカットは高い。素直な僕は友人を止めました。

僕がファーストキャリアのコンサル時代はお金を多少持っていて、シャインマスカットだろうが高級なワイン、カルパッチョだろうが、何も気にせずに買っていました。自分で稼いだ金は自分のものだし、来月も当然のように給料は入ってくるし、借金もないし、シャインマスカットくらい0秒思考で買ってしまいます。

でも今の僕には仲間とやりたいことがあって、たくさんのメンバーの人生を背負っているんだ。2,000円あるなら広告予算を少し上げられる、2,000円あるならパンフレットを少し多く刷れる、2,000円あるなら…という気持ち。ケチになった自分を発見し、俺も変わったなぁと何かができるようになった、こういう知識を得たという大した成長をしていなくても、日常の中で自分自身の変化や成長を感じる瞬間はたくさんあると思います。

大きな成果が出ないときでも、自分自身は変化している、その変化している自分なら成果は出せる(はず)と思って毎日頑張りたいと思います。

進学校サッカー部のエントランスマネジメント

僕は高校のサッカー部でキャプテンをしていたのですが、リーダーシップの取り方でとても悩みました。中学までサッカーに真剣に向き合い、東海大会まで出場した僕は、お勉強のできる高校に進学したとはいえ、サッカーも「勝つこと」を目標に頑張ろうと思っていました。ただ、僕の高校はセレクションなくサッカー部に入れて(それ自体はとてもいいこと)、特に強豪という評判もなかったので、本当に様々なモチベーションのメンバーが集まりました。

その中で痛感したのは「エントランスマネジメント」(と、今では自分なりの造語を持つくらい解釈が進んだのですが) をしなければ、一丸となれるチームは作れないということ。俺らって強くなりたいんだよね。県大会に出たいんだよね。そういったモチベーションは入部時点で揃っていないと、後からではどうしようもないと感じました。

といった学びがあったものの、起業したての頃、一緒にやりたいと門を叩いてくれる人がいることが嬉しくて、どんどん受け入れていたのですが、ミスマッチによる不幸も経験してきました。立ち上げフェーズの稼働の多さ、努力がすぐに成果に繋がらないしんどさ、求められるスキルレベルの高さ……これらを楽しめるか?当然一緒にやると決めてからが本番ですが、企業として体力のない今、より一層エントランスマネジメントの重要性を感じています。自分自身がその人を責任持って幸せにできるか、その人が他のメンバーを幸せにできるか、そんなことをシビアに見極めながら、同志を探しています。

ふと感じるのは、経験はリンクしているということ。悩みの尽きない毎日ですが、ふと過去の自分も、その時の自分としては精いっぱいの気持ちで、同じようなことに悩んでいたことに気が付きます。それこそ自分の軸なんだと。僕は、いかに周りにいる人を幸せにするかばかり考える人間 (つまりはいいヤツ) なんだなと。。

アパレルは思い出を運ぶ箱

アパレル業界に特化したSaaSを開発していると、よくお客様と「服の価値ってなんだろうね」という会話になります。自分というキャラクターの表現、帰属意識の表現、共感の表現など、「○○の表現」というのが、よく聞く言葉ですし、一般論的には正解なのかもしれません。

僕の言葉でアパレルとは何か?(≒どんな価値があるのか?) に答えると、「アパレルは思い出を運ぶ箱」であると、つまり「思い出を保存する」という価値があるのかなと思います。

僕には宝物の時計がありますが、これは尊敬する先輩に追いつきたくて、先輩と同じ時計ブランドの最安値モデルを月賦で購入したものです。いつも履いている靴は、妻からのプレゼントで、僕のワードローブを見て、必死に選んでくれたものです。この文章を執筆しているときに着ているTシャツは作業着のようなもので、たくさんの修羅場を一緒に乗り越えてきました。

アパレルには思い出が宿り、ふとした瞬間に、大事な人や大切な出来事と結びつきます。アパレルには、「○○の表現」だけでなくて、思い出をまとい、自分自身の心の充足に繋がるような、そんな価値もあると思います。

僕たちがradialを通じて伴走しているアパレルブランドさんも、着る人の思い出を運ぶのに十分に足る、非常に上質なものづくりをしています。radialは、そんなブランド様の進化、社会への本質的な価値提供を支えたいと思います。やれ分析だ、やれ効率化だというのは、非常に重要な観点なのですが、そしてradialも機能として備えているのですが、アパレルの本質的な価値を高めていけるようなSaaSプロダクトでありたいと思っています。

「戦略はつらい時期に意味を持たせるためにある」

僕のファーストキャリアはボストンコンサルティンググループという、世界でも名の知れたコンサルティングファームでした。

コンサルティングファームはクライアントの経営課題を解決することで報酬をいただくビジネスですが、特に「経営戦略」を描くことが花形のお仕事です。どうしたら売上を上げられるのか?利益を作りだせるのか?というお題よりも、もっともっと根源的なお題を考えます。我々はどこに向かうべきか?そのためにはどのような道を歩むか?そんな問いに答えるのが、戦略を立てることなのかなと思っています。

当時は、ストーリーの美しさ、ゲームチェンジ感、理想と現実のバランスの良さ、投資家含め社内外のステークホルダーの納得性など、素晴らしい戦略の条件をいろいろと考えていました。そしてようやく気付いたのですが、素晴らしい戦略にとっての、最も重要な条件は「その戦略の目的を理解していること」です。なぜ今、戦略が必要なのか?それを徹底的に考えてこそ、素晴らしい戦略を導けると思います。

僕らのチームに戦略が必要な理由は、「つらい時期に意味を持たせるため」です。すぐに成果が出なくても、努力が徒労に終わったような気がしても、やりたくない仕事が目の前にあっても、戦略があれば、そこに意味を見出し、いつか晴れる空を想像しながら、頑張り続けることができます。戦略がないと、今のつらさは何に繋がっているのか、少し未来の自分はどうなっているはずなのか、イメージを持てません。自分がやっていることに意味を見出せなくなります。そしてあるタイミングで急に足を止めてしまう。今、小さいながらも企業を率いる身になってみて、戦略の重要性を心の底から理解しました。戦略コンサルタントではなく、企業を率いる経営者として、血の通った戦略を作っていきたいと思います。